初めて自治体のプロポーザルに応募するとき、「何から書けばよいか」「どの順番で並べるか」で手が止まりがちです。本記事では、18項目を構造化した提案書テンプレートを配布し、各項目の書き方・審査側が見ている観点・公募要領との突き合わせ方を順に解説します。資格取得後に最初の1件を取りに行く方を主な対象として設計しています。
配布物について
- 提案書テンプレート(PPTX):A4横・全20スライド。18項目を1項目1〜2スライドで配置
- 記入例(PDF):架空の「地方都市Aの旧小学校利活用案件」を題材に、全項目を埋めた記入例
配布物は記事末尾の「ダウンロード」からお使いください。PPTXのまま編集し、提出時にPDFに書き出して提出する運用を想定しています。
使い方の流れ
- 公募要領を読み込み、審査項目を書き出す
- 配布PPTXを開き、表紙の提案者情報(氏名・所属・資格)を差し替える
- 18項目を上から順に記入する
- 公募要領の審査項目と提案書の見出しを1対1で対応させる(後述の対応表)
- 読み手(行政担当者)を想定して通し読みし、専門用語の補足を加える
- PDFに書き出し、提出前チェックリストで最終確認する
最初から完成形を目指さず、まず1周目で全項目を埋め、2周目で具体と数字を補強する進め方が現実的です。
収録18項目の構成
テンプレートは大きく「提案の全体像(1〜5)」「事業設計(6〜11)」「組織・体制(12〜14)」「評価と展開(15〜18)」の4ブロックに分かれます。
1. 表紙
提案者名・資格・案件名・提出日を記載します。資格は「地域文化資源マネジメント士」のように正式名で書き、括弧で機構名を添えると初見の審査員にも伝わります。
2. 提案の要旨
提案書の最初の1スライドで、審査員が最も集中して読む箇所です。「何を」「誰のために」「どのように」「どれくらいの規模で」の4要素を7〜8行にまとめます。
3. 事業の背景と必要性
公募要領に書かれた地域課題を自分の言葉で言い換え、そこに一次情報で裏付けを加えます。文化財関連であれば文化庁の地域計画認定状況(出典: 文化庁 文化財保存活用地域計画)のような客観データで補強すると説得力が増します。
4. 事業目的
背景からつなげて、この事業で「何を達成したいか」を書きます。抽象的な理念で終わらせず、次項の「対象」と連動させます。
5. 対象地域・対象者
対象を明確に絞ります。「地域住民」「来訪者」のような広い書き方は避け、「徒歩15分圏の住民約3,000世帯」「近隣自治体からの日帰り観光客」のように、数と属性で特定します。
6. 実施体制
主担当者の経歴・資格・過去実績を記載します。第三者の協力体制(建築士・行政書士・地域団体等)があれば明記します。個人事業での応募の場合、協力者の名前を出せない場合は「専門領域と担当範囲」だけでも示します。
7. 事業計画(全体スケジュール)
年度ごとの大枠をガントチャート形式で示します。公募要領に記載された事業期間と整合させます。
8. 年度ごとの実施内容
スケジュールを項目で展開します。初年度に「準備・体制構築」、2年目に「本格実施」、3年目に「定着・評価」のような階層を意識します。
9. 成果指標(KPI)
KPIは3つに絞るのが目安です。定量(来訪者数・売上・稼働率)と定性(満足度・地域評価)を混在させると、次項のリスク記述と対応させやすくなります。
10. リスクと対応策
想定されるリスクを「発生可能性」×「影響度」で3〜5件整理します。対応策はリスクごとに具体の行動で書きます。審査側にとって「想定外を想定できる提案者か」を見る項目です。
11. 予算計画
費目を細目まで書きます。「人件費 ◯◯万円」のような概算では審査で不利になります。直接人件費・外部委託費・物品費・その他経費に分け、外部委託は内訳も開示します。
12. 実績・類似事例
自身または協力体制の過去実績を3〜5件挙げます。類似テーマの案件を前面に置き、案件名・時期・役割・成果を1件4〜5行でまとめます。実績が少ない場合は「関連する学習・研究実績」で補います。
13. 継続性・持続可能性
事業終了後3〜5年目の姿を書きます。補助金依存から自立に向かう道筋、収益の多角化の考え方を含めます。羅針盤の日本遺産分析でも、収益多角化は成否を分ける要因の1つとされています(出典: 株式会社羅針盤 日本遺産制度10年の軌跡)。
14. 他団体との連携
連携先と役割を表形式で整理します。「協議中」「打診段階」のように確度を記載するのが正直で、後の信頼につながります。
15. 住民参画の設計
「誰が」「いつ」「どう関わるか」を設計します。ワークショップ・意見交換会・モニター制度など、参画の具体の場を書きます。
16. 情報発信計画
対象ごとに媒体を分けます。地域住民へは広報誌・掲示板、広域へはウェブ・SNS、専門家へは学会・業界紙、のような切り分けです。
17. 評価・報告体制
誰が・どの頻度で・誰に報告するかを書きます。自治体の担当課への報告、第三者委員会の設置、議会報告の有無まで踏み込むと実装が見えます。
18. 事業終了後の展開
本事業で得た資源・ネットワーク・知見を、終了後どう活かすかを書きます。次の案件の種になる項目です。
審査側が見ているポイント
提案を受ける行政職員の視点から、審査で重視されやすい観点を整理します。
| 観点 | 見られる点 | 書き方の要点 |
|---|---|---|
| 実現可能性 | 体制・スケジュール・資金の整合 | 数字と固有名詞で具体化する |
| 継続性 | 補助金終了後の3〜5年目の姿 | 収益構造と自立の道筋を明記 |
| 地域への波及 | 定量指標と地域への還元 | KPIを3つに絞り根拠をつける |
| 公募要領への適合 | 審査項目と提案書の対応 | 見出しの順序・文言を要領に寄せる |
| 文章の読みやすさ | 専門用語・長文・図版 | 初出用語を補足、1段落は4行以内 |
城泊・寺泊分野では、事業計画書の作成ポイントを観光庁が公開しており、文化財・観光系のプロポーザル全般で参考になります(出典: 観光庁 歴史的資源を活用した観光まちづくり事業)。
公募要領との対応表の作り方
審査項目は自治体ごとに異なります。提案書を書き始める前に、次のような対応表を作ります。
| 公募要領の審査項目 | 配点 | 対応する提案書の項目 | スライド番号 |
|---|---|---|---|
| 事業の必要性 | 20点 | 3. 事業の背景と必要性 | P.3 |
| 実施体制 | 20点 | 6. 実施体制 / 14. 他団体との連携 | P.6, P.14 |
| 実現可能性 | 20点 | 7-8. スケジュール / 11. 予算 | P.7-8, P.11 |
配点の高い項目に紙幅を厚く割くことで、総合点を取りに行けます。見出しの文言は可能な限り公募要領に寄せます。
よくあるつまずき
- 18項目すべてを同じ熱量で書いてしまう → 公募要領の配点に応じて濃淡をつける。配点20点の項目と5点の項目を同じ分量で書かない
- 実績欄に学習歴を並べてしまう → 資格・講座修了は冒頭にまとめ、実績欄は「自分が動いた成果」に絞る
- KPIを増やしすぎる → 3つに絞る。多いと責任範囲が曖昧に見える
- 予算計画を概算で済ませる → 審査員は細目の整合で実現可能性を判断する。見積の根拠まで遡れる形で書く
- 継続性の項目が空洞化する → 補助金終了後の資金源を1行でも書く。書けない場合は「◯年目以降は有料化を検討」と方向性だけでも示す
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参照時点: 2026年4月
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